便利さによって失われた何かを求めて~昭和初期の日本建築1

ペンションオーナーの旅行記

長野の渋温泉にある金具屋さんに出かけた。国の登録有形文化財になっている木造四層楼「斉月楼」と130畳の本間のある大広間。かつては湯湯治宿だったのを観光旅行向けに対応するため、6代目のご主人が宮大工とともに、全国の名建築を参考にして昭和11年に完成させた。宮崎駿の千と千尋の神隠しを彷彿とさせるような外観。各階ごとに、異なるつくり、客室を家に見立て、廊下を外に見立てた細工、水車の歯車を利用したり、木の枝をそのまま明かり窓に細工物としてつかったりと、遊び心があふれている。

今は取り壊されてしまった自分の実家の茅葺屋根の時代を思い出させてくれる。昭和初期というのは、大正デモクラシーとともに明治に流入した西洋文化とそれまでの伝統的日本文化が融合した庶民好みの派手で新しいものが生まれた時代だったようです。それにしても、そんな貴重な建物に客を泊め、今も現役なのだから、すばらしい。客間は長野県内各地の郷土のイメージで作られ、それぞれにインテリアが違って、格調高く居心地が良かったです。

 

 

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